ホンダZCエンジン回想


私はホンダのZC型エンジンは”名機中の名機”であると考えています。

私個人がCR-Xが好きだいうのがあります。


CR-X以外もZCを積んだ車はありますが・・・

前回の記事にVAMさんより以下のコメントを頂きました

「自分が名車、名機だと思うだけで良いような気がしてきました。」

全く然り!!

では、このブログではCR-X&ZCは名車・名機ということで話を進めましょう。

とにかくZCは乗りやすくドライバビリティのいいエンジンでした。

分厚い中低速トルクがあり、それでいて7000rpmまできっちり回る。

どこから踏んでも加速するトルク感。

乗ればわかるZCの良さ!!といったところです。



ZC型は非常にロングストロークなエンジンです

ボア×ストロークは

75.0×90.0

ちなみに4A-Gは

81.0×77.0

ロングスロークといわれるB6エンジンは

78.0×83.6

いかにZCがロングストロークかがお分かりいただけると思います。

一般的に

ショートストロークのエンジンは高回転で馬力(トルク×回転数。仕事率)があり

ロングストロークのエンジンは低回転でのトルク(軸の回転力)がつよい

といわれています。

ロングストロークのエンジンが低速から強いトルクを発生させれるのは

”モーメント長さ”があるため

といわれる方がいます

つまり、燃焼行程でピストンが燃焼ガスの圧力を受けながら上死点から下死点まで降りる行程でクランクシャフトが180°回転する訳ですが、ここのモーメント長さあるということですね

わかりすくいうと”てこの原理”で棒を長くしているイメージを浮かべていただくといいかと思います。

でも、この理屈は大事なことが抜け落ちていますね。

棒を押す力です。

エンジンの軸トルクは

力(ピストンに掛かる燃焼圧力)×モーメント長さ(ストローク)

ですので、排気量が同じならピストントップの面積が狭くなる分、ロングストロークは圧力が減るのでショートストロークもロングストロークも同じです。

では、なんでロングストロークが低回転でトルクがあるか?

ロングストロークが低速トルクの面で有利なのは”熱損失”の問題です。

エンジンの機械部分は部材が高温に耐えられないし、吸気行程において内部の温度さげておかないと吸気効率が下がってしまう為、水を使って冷却しています。

エンジン内部では、一方で火を燃やして、一方では温度下げるということしているのです

エンジンは燃焼ガスの圧力を軸トルクに変換しているのですが、高温で燃焼する燃焼ガスはピストントップや燃焼室の表面。ピストンが下がっていくと現れるシリンダー壁に熱を奪われていきます。

同じ排気量のシリンダーならショートストロークよりロングストロークのほうが、シリンダー内部の容積に対して面積が狭くなります。

ですから、ロングトストロークのほうが熱損失が少なく燃焼圧力が下がるのを防げるということです。

もう1点、ノッキングの問題があります。

エンジンは混合気を圧縮して点火プラグによって点火をします。
点火プラグを中心に火炎が広がる様に燃焼します。
我々の時間感覚ですと混合気は一瞬で燃えているような感覚がありますが、実際は火種(プラグ)から”燃え広がっているのです。
そして燃焼ガスは膨張していきます。
点火プラグから遠い場所にある未燃焼の混合気(エンドガス)はピストンやシリンダー壁面に押しつけられ、断熱圧縮により高温・高圧になります。
高温・高圧が限界を超えるとエンドガスは一気に自己着火し、その際に衝撃波が発生します
これがノッキングです。

燃焼室の形状上、ロングストロークのエンジンは、ショートストークに比べてエンドガスの距離が近くなるので有利です。

そして、ノッキングが発生した場合は対策として、点火時期をMBT(Minimum advance for the Best Torque.点火時期のみを変化させた際、トルクが最大となる点。)から”遅らせて”いくことになりますので、ショートストロークは不利です。

これですとロングストロークはいいことばかりのようです。

実用エンジンはこれでいいでしょうが、エンジンを高回転までまわしてフィールやパワーを稼ぎたいスポーツエンジンにとっては、ロングストロークは不利な点があります。

・ボア径が小さいので、それにともないバルブ径も小さくなる。
・ピストンスピードが速くなる。

私はZCを語るときに、このバルブの話が佳境だと思っています。

バルブ径が小さいということは高回転域で十分な吸気ができません。

バルブ径が小さいなら、リフト量・オーバーラップなどでカバーしないといけません。

オーバーラップを大きくすると、アイドリングが不安定になったり、排気ガス規制をクリアできなくなったりします。

リフト量はどうか?

リフト量を稼ぐのはいい選択ですが、リフト量を稼ぐと直打式の場合、カム山が大きくなってしまいます。
カム山が大きくなれば、その分の”逃げ”を作らないといけないので、シリンダーヘッド自体が大きく重くなってしまいます。

これをどうやって解決したかは、メーカーのPVを観てください

佳境だ!といっておきながらこの投げやりっぷり・・・



ピストンスピードについては、コンロッドの中心間距離等の資料がないのでなんともいえませんが、90mmのストロークで7000rpmまで回すと平均ピストンスピードは21m/sです。
80年代は、平均ピストンスピードは20m/sが限界といわれていましたが、ホンダのことですからなんとかしたのでしょう!

それに、極端なロングストロークということは、極端にボアが小さいということですので、ピストンのサイズも小さいので、質量も小さいわけです。これで有利な要因ではないでしょうか?

ますますいい加減・・・・

そして、ZCは小さくて軽いといのがあります。

ZCの整備重量は105kg!!

これがどれくらい軽いかというとAE86の4A-Gが126kg。
これだって重いわけではありません。たぶんB6も同レベルだと思います。
2T-GEUが146kgですから。

B16Aの重量はわかりませんがZCよりは重いでしょうし、VTECという可変機構が付いている分ヘッド周りが重くなって重心が上がっていると思われます。

これを、CR-Xのような小さな車に乗せたら運動性に与える影響は大きいでしょう。

実際、SiとSiRに乗ったことがありますが、ハンドリングはSiの方がよかったという印象があります。
中低速トルクもSiのほうがありました。
コースによってはSiのほうが速いかも・・・・・・?

こう考えるとNA6ロードスターのハンドリングやBFファミリアの運動性はB6エンジンありきとなってきます。

ZCは、与えられた条件の中で開発エンジニアが、工夫にに工夫を重ねて生み出されたエンジンだと思います。
それが、私がZCエンジンを名機と考える理由です



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